理念

サグラとはイタリア語で収穫祭という意

その意味合いも少しずつ自分の中で変化してきました。

2006年に札幌で開店した当初は
『どこの誰が育てた物です』
という事を伝える事に重きを置いていました。

今ではチェーン店すら産地を明記する時代で
その役割は随分前に終わってしまっています。
今は産地を名乗る事をしません。
それは当たり前に近郊のものを扱うからです。

説明がないと伝わらない料理も多いですが
地産地消やSDGsなど
言葉で装飾することは好きではありません。

2017年に余市に移住して日々過ごす中で
時の流れと、色々な心境や状況の変化に伴い
少しずつ考えも変わってきました。

北海道を出ることはありませんが
今は、この地域にないものは
少し離れた北海道に力を借りることもあります。

ここでしかとれないものを
自分の実力不足で
頑張ってそこそこにしかならない料理よりも
せっかくここまで来ていただくなら
美味しさが前提にあるべきではないか?
その上でここだからできる事をすれば良い。

ただ

美味しさや美しさだけを味わうなら都会でもたくさんあります。
ここに来て頂く意味はなんなのか

その美味しさの中に
都会の速度では見落としてしまう物や
組み合わせる意味合いと
物語が田舎にはあるべきだと

技術の向上に対する努力を惜しむつもりは一切ありませんが
美味しさを表現する技術は自分にはありません。

周りを歩いてからお食事をされるお客様に
さっき見た花だ
と言われる時に
この方には伝わるのかなと思ってます。

自然という丸い営みに人間という歪みを加えてもなお、
自然栽培や自然派ワインという言葉に
おとしこもうとする考えに違和感を感じながらも
近年の気候変動における恵みの変化に危機感を感じつつ
このジオラマの中で
生き、営む理由と意味を自問自答しています。